職業奉仕月間に因んで
入谷 治夫 様
職業奉仕とは何か?それはロータリーの精神、哲学は何か?という問いである。ロータリー運動は倫理運動です。ロータリーのロータリーたる所以は職業奉仕の実践です。ロータリーにおける倫理は、1945年に制定された「道徳律」や「ロータリーの目的」の第二項に示されています。では「倫理とは」何か?それは「人が正しく歩む道」です。①嘘をつかない②人を泣かすようなことをしてはいけない③人を欺いてはいけない④非社会的、非道徳的行為をしてはいけない⑤不祥事を起こさないというのが倫理の教えであります。
職業奉仕と社会奉仕との違いは?職業奉仕は自分の職業を通じて奉仕することですが、いまいちよくわかりません。受益者が自分以外の人の場合が社会奉仕、自分の場合は職業奉仕と考えたら解りやすいでしょう。職業奉仕の理念についてですが、「職業を営むとは」収益を得て、企業を継続維持することです。「奉仕するとは」世のため人のために尽くすことです。この正反対の言葉が存在するが、ロータリーは「職業を営むことが世のため人のための奉仕になる」と言っています。ここが職業奉仕の一番難解な点ですがこの点が解らなくてはなりません。それをどのように説明するかですが、職業を営む心も奉仕の心も「ひとつの心」として考えなさいということです。即ち「世のため人のために奉仕をする心をもって職業を営むべし」ということです。そしてこの言葉の意味は先ほど説明しました自分の職業に対して強く「倫理性」を要求しているのであります。「He profits most who serves best」これはアーサーシェルドンの言葉でロータリーの標語です。「最もよく奉仕するものには、最も多くの利益がある」です。即ち、奉仕活動をすればするほど地域の人々から自分の職業に対して尊敬と信頼、信用をより多く得て自分の職業がさらに繁栄するということを言っています。ロータリーにおける2つモットーについてですが①ロータリーは倫理運動を通じて世のため人のために奉仕する。という考えと②人道的活動を中心とする人の金銭的、物質的援助活動が必要である。という2つの考えがあります。この異なった意見を調和するため「決議23−34」が生まれ奉仕哲学としてService Above Self「超我の奉仕」と実践理論の原理である「He profits most who serves best」が明記されました。
次にRIにおける職業奉仕の変遷ですが、1915 年サンフランシスコ国際大会で全分野の職業人対象に道徳律が採択され、我々は事業や経済活動の中で同僚に対して高いIdeal of serviceを与えることができないかと提唱された。1915〜23年奉仕理論提唱派と奉仕実践派の対立。1920〜30年ロータリーの職業奉仕が社会に大きな影響を及ぼした最盛期。1923年セントルイス国際大会で「決議23−34」が採択されThe ideal of serviceの明文化と2つの標語を同様に採択。1927年ベルギーオステンド世界大会で職業奉仕「Vocational Service」が初めて採択。1931年ロータリーの倫理訓である道徳律の配布禁止令が出された。1948年RIの職業奉仕委員会が廃止される。1951年道徳律そのものも廃止され、以来1987年まで40年間ブランク状態となる。このような経過のあと1989年規定審議会は「ロータリアンの職業宣言」を採択しその内容は、誇大広告の禁止、同僚ロータリアンへの便宜供与の禁止、青少年や地域社会に対する技術提供です。2011年RI理事会において、「ロータリーの職業宣言」は「ロータリアンの行動規範」として受け継がれる。ハーバードテイラーは1932年に倒産寸前の会社を再建する際、社員の育成の指針として「四つのテスト」を考案、実践し、RIはこれを職業奉仕にふさわしい短い倫理訓として認めています。2016年RI規定審議会で奉仕の第二部門を改正する件が採択され「そして自己の職業上の手腕を社会の問題やニーズに役立てるために、クラブが開発したプロジェクトに答えることが含まれる。」という文面が追加記載されました。以下もう少し話は続きますが紙面の関係で省略させていただきます。拙い職業奉仕卓話をお聞きいただき有り難うございました。