北嶋 紀子 様
私の卓話は、ハラスメントの中でも、特に、今、指導者層の方が地雷を踏みやすいセクハラの1つであるジェンダーハラスメント(性別に基づく差別的言動)を中心にお話しをさせていただきます。
RCHPに「ロータリーは、持続可能な変化を生むために人びとが手を取りあって行動する世界を目指すグローバルネットワークとして、多様性を重んじ、年齢、民族、人種、肌の色、能力、宗教、社会的地位、文化、性別、性的指向、性自認にかかわらず、あらゆる背景をもつ人の貢献を称えます。」とあります。多様性の尊重とは、一人一人の尊厳・人権の尊重に基づくものです。性別に基づく差別的言動は、多様性の尊重、人権を侵害する行為であるため、許されないのです。
現在、世の中のモラル・人権に対する認識は、非常に急速に変化・進化をしています。昭和や平成の時代に許されていた言動が許されなくなっています。したがって、皆さんの性別に対する認識と言動を現代に合わせアップデートしていただく必要があります。
法律の定義も進化しています。当初セクハラは女性に対するものだけが規定されていましたが、現在では男性及びLGBTQ+に対するセクハラ、同性間でもセクハラがあることが規定されています。
2019年5月の法改正により、事業者だけでなく労働者に対してもセクハラを防止する責務が課せられました。また、社外のセクハラ行為もしてはいけないという内容に変わっています。皆様の会社・組織では適切に対応できているでしょうか。
性別に対する認識が古いままであったがために、辞任にまで追い込まれた事例が、オリンピック組織委員会での森元首相の発言の騒動です。森さんもこれまで東京オリンピック開催に向けてコロナ禍の中、尽力されてきたと思います。しかしながら、客観的根拠の無い思い込みによる「女性」という属性で物事を捉えた女性蔑視、性別による差別発言をしたことにより、辞職せざるを得なくなってしまいました。この事例からも、セクハラ・ジェンダーに対する認識をアップデートして、慎重な発言・行動をしていく必要性を理解していただけると思います。
最後に、セクハラ防止のキーワード4点をお伝えします。
①性的な言動は職場/公の場には不要
②余計なことをしゃべらない
③触らない
④性別によって人の役割・性質を決めないということです。