卓話 2021年9月9日
子どもたちが生まれてきて良かったと思える社会を目指して
【お礼】
いつもご寄贈等ご高配賜り誠にありがとうございます。職員一同感謝の気持ちでいっぱいです。
【子育てを取り巻く環境】
全国の児童相談所が2019年度に児童虐待に対応した全件数が193780件。右肩上がりの件数増加。要因として、都市化・核家族化が進み、孤独の中で子育てをしなければならない。便利な世の中になったけれど、人間関係が希薄になった。虐待死の件数は毎年50件を下らない。虐待死事例で最も多いのは0歳0か月。1日に約45件の人口妊娠中絶。安心して子どもを産める社会ではない。育児不安な時期がどの親にもあります。周りがいかにサポートできるかが大切。虐待する親が弱いのではなく、支える周りの力が弱いのです。
【児童養護施設について】
全国に約600施設、大阪に約40施設あります。様々な事情で実親と一緒に生活できない子どもたちが生活しています。入所理由の最多は虐待。全国的には65%主訴が虐待。私たち職員は生活を共にする中で、子どもたちの「いのち」が輝くように、自己実現をはかりたいと日々寄り添っています。子どもは健全に不快を快にしてもらうことで、「自分は大切な存在だ」「他の人は信頼できる」という基本的信頼関係が生まれます。虐待環境で育ってしまうと、「どうせ自分なんて」と自己肯定感が低くなってしまいます。施設で育つ被虐待の子どもたちにとって、自立することは大変ハードルが高いことです。私たち施設職員はそういった子どもたちが「生まれてこなかったら良かった」と思うのではなく、「生まれてきて良かった」と思えるようにつながり続けたいと思っています。施設職員だけでできないことを、企業、弁護士、NPOなどとつながり、子どもたちの選択肢を増やす伴走者として協働していこうと取り組んでおります。
【私たちに出来ること】
保育園、幼稚園は社会的に認知されています。児童養護施設はどうでしょうか。実態をなかなか認知されにくい状況があります。是非多くの人に現状を知ってもらいたい。結婚式のスピーチで卒園生が語った「施設にいることで、なんで自分だけが不幸…と思っていた」という言葉。ロータリーの理念にもある「機会の扉を開く」ということ。どうかご一緒に実践できたらと思います。
ご縁をいただきまして本当にありがとうございます。今後とも『ご一緒に』よろしくお願い申し上げます。